まいぷれホーチミン編集部
ベトナムと日本、架け橋となるビジネス
30万円から始まった挑戦。ベトセイコー代表取締役ダオ氏が語る、ベトナム進出成功の条件
日本企業のベトナム進出が加速する一方で、多くの企業が最初に直面するのが、「信頼できる現地パートナーをどう見つけるか」という課題です。
人材採用、進出手続き、現地企業とのネットワークづくり、文化や商習慣の違い。こうした壁を乗り越えるためには、現地を深く理解したパートナーの存在が欠かせません。
ホーチミンを拠点とするVietseiko(ベトセイコー)は、人材紹介を中心に、進出支援、投資・ビジネスマッチング、貿易、物流までをワンストップで提供。これまで3,100名以上のベトナム国内向け人材紹介、496名以上の日本向け人材送り出し、12万人以上の候補者データベースを築いてきました。
今回MYPLでは、代表取締役のファム・フー・ダオ氏に、創業秘話から経営哲学、日本企業への想い、そしてベトナム進出を成功へ導くポイントについて伺いました。
「会社を作った時、私のポケットにあったのは30万円だけでした。」
ベトセイコーが設立されたのは2017年12月。
しかし、創業当初から順調だったわけではありません。
ダオ氏は、日本から帰国後、送り出し機関で働いていました。
その頃、日本人経営者から言われた一言が人生を変えます。
「送り出しだけではなく、ベトナム国内の人材紹介をやったらどうですか。」
この言葉が、ベトセイコー誕生のきっかけでした。
「会社を作った当時、自分のポケットにあったお金は約30万円だけでした。」
結婚直後というタイミングでもあり、大きな資金があったわけではありません。
それでも、「挑戦したい」という思いだけで会社を立ち上げました。
創業4か月、最初の社員は15分で辞めた
創業から4か月後。
初めて採用した社員は、入社からわずか15分で会社を辞めました。
「少しコーヒーを買いに行って戻ってきたら、もういませんでした。」
当時のベトセイコーには、お客様も少なく、教育制度もなく、会社の方向性もまだ見えていませんでした。
「何をする会社なのか分からない。」
そう思われても仕方がない状況だったとダオ氏は振り返ります。
この経験が、大きな転機となりました。
マーケティング、営業、採用、組織づくり。
経営者として一から学び直し、会社の仕組みを整え始めます。
コロナ禍で気づいた、本当に会社を支えるもの
2019年、ベトセイコーは日本企業から多くの依頼を受け、社員数も増え始めていました。事業は順調に成長し、新しいオフィスへの移転も実現します。
しかし、その勢いは2020年、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって一変します。
仕事は激減し、会社存続の危機に直面しました。
そんな苦しい時期に支えとなったのは、日本企業とのつながりでした。
経営や資金管理についてアドバイスをくれた経営者。困難な状況でも手を差し伸べ、支援してくれたパートナー。
「そのおかげで、会社を続けることができました。」
ダオ氏は当時をそう振り返ります。
創業から9年間。数々の成功と失敗を経験する中で、ダオ氏がたどり着いた答えがあります。
「会社を発展させるために、一番大切なのは人材です。」
会社を支えてくれた社員がいたから、苦しい時代を乗り越えることができた。
そして、自分を信じて支えてくれた日本企業があったから、今のベトセイコーがあります。
だからこそ、ダオ氏にとって人材紹介は、単に人を紹介するビジネスではありません。
企業の未来をつくり、人と企業を長くつなぐ仕事です。
現在、ベトセイコーが日本企業向けの採用支援や進出支援に力を入れている背景には、もう一つの想いがあります。
「苦しい時に支えてくれた日本企業へ、今度は自分たちが恩返しをしたい。」
その想いが、ベトセイコーのサービスの根底に流れています。
人材紹介だけではなく、ベトナム進出支援、投資・ビジネスマッチング、物流まで事業を広げているのも、日本企業がベトナムで安心して挑戦できる環境をつくりたいという考えからです。
ベトセイコーが目指しているのは、人材会社ではありません。
日本企業とベトナム企業が、ともに成長し続けられる "信頼の架け橋" になることです。
なぜ、多くの日本企業はベトセイコーを選ぶのか
ベトセイコーが大切にしているのは、「人を紹介すること」ではありません。
何よりも大切にしているのは、お客様との信頼関係です。
ダオ氏はこう話します。
「約束したことは必ず守る。時間を守る。言ったことを守る。それがお客様との信頼になります。」
この姿勢は、創業以来変わることなく社内にも浸透し、ベトセイコーの強みとなっています。
その積み重ねは、実績にも表れています。
現在では、人材紹介に加え、ベトナム進出支援、投資・ビジネスマッチング、貿易、物流までワンストップで提供しています。
ベトセイコーの進出支援は、ライセンス取得やアドバイスだけではありません。これまで培ってきた日越双方のネットワークを活かし、日本企業とベトナム企業をつなぎ、数多くのビジネスを成功へ導いてきました。
では、その経験を持つダオ氏は、日本企業がベトナムで成功するために何が必要だと考えているのでしょうか。
ダオ氏が考える、ベトナム進出成功の条件
ダオ氏は、ベトナムで事業を成功させるために最も重要なのは、「人間関係」だと話します。
「ベトナムで成功するには、人間関係がとても大切です。」
日本では会議室で慎重に意思決定を進めることが一般的ですが、ベトナムでは食事やお酒の席で信頼関係を築くことで、ビジネスが大きく前進することも少なくありません。
また、ベトナムの経営者は、信頼できる相手だと判断すれば意思決定が早い傾向があります。
「ベトナムではスピードも大事です。早く決めないと、次のステップが遅くなってしまいます。」
一方で、ベトナム進出では、採用や営業だけでなく、許認可や行政手続き、現地企業とのネットワークづくりも欠かせません。そのため、現地を理解したパートナーの存在が、事業成功の大きな鍵になります。
ダオ氏は、日本企業が持つ技術や品質管理、経営ノウハウは、これからのベトナムにとって大きな価値があると考えています。
「農業、機械、建設、製造など、日本企業の技術をもっとベトナムへ持ってきてほしいです。」
若い人材が豊富なベトナムと、日本企業が培ってきた技術や経験。この二つをつなぎ、日越双方の成長を支える「橋渡し役」になることが、ベトセイコーの目指す姿です。
ベトナム進出で失敗しないために知っておきたい3つのこと
数多くの日本企業のベトナム進出、現地展開に携わってきたダオ氏から見た、ベトナム進出の注意点を教えてくれました。現地で過ごす上で、重要な点や、大きな注意点など、細部に渡っています。ここでは、3つだけ抜粋してお届けします。
1つ目は交通。ベトナムの交通ルールや道路事情をよく理解していないと、危ない場面があります。
2つ目は食事。レストランやお店はたくさんありますが、衛生面ではまだ注意が必要な場所もあります。安心できるお店を選ぶことが大切です。
3つ目は、法律、税務、会計です。小さな規模であれば大きな問題にならないこともありますが、会社が大きくなると、法律や税務をきちんと理解していないと、大きなリスクになります。
ベトナム政府の管理も厳しくなっています。弁護士や税理士としっかり連携しながら進めることが重要です。
ベトセイコーでは、そうした面でも日本企業にアドバイスが可能です。ベトセイコーは9年ほど、税理士をはじめとするプロフェッショナルと一緒に仕事をしており、日本企業の支援も多く行ってきました。
目指すのは「日越ビジネスを共創するベトセイコーグループ」
今後5年間で、ベトセイコーが目指しているのは、人材紹介会社の枠を超えたグループ経営です。
これまで培ってきた人材紹介を軸に、ベトナム進出支援、投資支援、貿易、ビジネスマッチングをさらに強化し、日本企業とベトナム企業が共に成長できる仕組みをつくっていきたいと考えています。
「2030年までに、ベトナム市場でトップクラスの企業グループを目指したいです。」
特に印象的だったのは、ダオ氏が「投資」という言葉を何度も口にしていたことです。
ベトセイコーが目指すのは、単なる進出支援ではありません。これからベトナムへ挑戦する日本企業に対し、現地パートナーとして伴走し、ときには共にリスクを負いながら事業を育てていくことも視野に入れています。
日本企業が持つ技術や経営ノウハウと、ベトセイコーが持つ現地ネットワークや事業経験。その両方を掛け合わせ、新たなビジネスを共に創り上げていく──それがダオ氏の描く未来です。
創業時、手元にあった資金は約30万円。そこから数々の苦労を乗り越え、日本企業との信頼を積み重ねてきたからこそ、「信頼できるパートナー」の価値を誰よりも理解しています。
ベトセイコーグループという構想は、単なる会社規模の拡大ではありません。日本企業とベトナム企業が共に挑戦し、共に成長するための、新しいビジネスプラットフォームづくりへの挑戦なのです。
編集後記
ベトセイコーは、人材紹介会社という枠では語れない会社でした。
ダオ氏が何度も口にした「人材」という言葉の背景には、創業当初の苦労やコロナ禍を乗り越えた経験があります。
人を紹介するだけではなく、日本企業とベトナム企業をつなぎ、双方が長く成長できる関係をつくる。
それがベトセイコーの目指す姿なのでしょう。
ベトナム進出を成功させる鍵は、優れた戦略だけではありません。現地を理解し、ともに挑戦してくれる信頼できるパートナーと出会えるかどうか。その存在こそが、成功を大きく左右するのかもしれません。
30万円から始まった一人の挑戦は、いま、多くの日本企業のベトナム挑戦を支える存在へと成長しました。ダオ氏が目指す「信頼の架け橋」という言葉は、これからベトナムへ挑戦する企業にとっても、きっと大きな支えになるでしょう。
ベトセイコーの企業ページはこちらから
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