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ベトナムコーヒーの淹れ方と道具の選び方、練乳の使い方をご紹介

旅行から帰って、買ってきたベトナムコーヒーの粉とフィンを取り出す。あの濃くて甘い一杯をもう一度、と思って淹れてみたら、なんだか薄い。あるいは、いつまで待っても落ちてこない。そんな経験をされた方は少なくないのではないでしょうか。
フィンは部品が3つか4つしかない単純な道具です。ところが「粉はどれくらい」「お湯は何回に分けるの」「上の板は押さえるの」と、いざ使うと分からないことばかり。日本語の説明書が付いていないことも多く、感覚で淹れて失敗しがちです。
そこで今回は、ベトナムコーヒーの入れ方を、フィンの使い方を中心に数字つきで解説します! 粉の量と湯量の比率、お湯の温度、蒸らしと抽出の時間まで具体的に。あわせて、落ちてこないときの対処法、フィンがない場合の代用、そして本場の甘さになる練乳の入れ方もご紹介します。買ってきた粉を、現地で飲んだあの味に近づけましょう!

ベトナムコーヒーを淹れる道具はフィン(phin)と呼ばれます。日本では「ベトナムコーヒー用ドリッパー」の名前でも売られています。ペーパーフィルターを使わない金属製の一人用フィルターで、構造はとても単純です。
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| 受け皿 | カップの上に置く土台。しずくが垂れるのを防ぎます |
| 本体 | 粉を入れる円筒。底に細かい穴が開いています |
| 押さえ板 | 粉の上に乗せる円盤。落ちる速さを決める要 |
| ふた | 温度を保ちます。抽出中は乗せておきます |
現地で買うにも日本で買うにも、選ぶポイントは3つです。
1.素材で選ぶ:アルミとステンレスがあります。アルミは熱を奪いにくく、抽出中の湯温が下がりにくいのが利点。現地の店で使われているのもほとんどがアルミです。ステンレスは丈夫で見た目がきれいですが、使う前に湯通しして温めておくと差が出ません。
2.サイズを確認する:フィンは1杯用が基本で、容量は製品によって幅があります。小さいフィンに大量の粉を入れるとお湯が入りきりません。買うときは、普段使うカップに合うか、置いたときに安定するかを見ておきましょう。
3.押さえ板の形を見る:ねじで締めるタイプと、ただ乗せるだけのタイプがあります。初めてなら、乗せるだけのタイプのほうが失敗しません。ねじ式は締め具合で落ちる速さが大きく変わり、慣れるまで調整が難しいためです。
道具の次に結果を左右するのが挽き目です。ここを外すと、分量や湯温を正しくしても味が決まりません。
フィンに合う挽き目は「中細挽き」です。粒の大きさは、目安として粗塩の半分ほど。日本のペーパードリップで使う中挽きより、わずかに細かいくらいが目安になります。
| 挽き目 | 何が起きるか |
|---|---|
| 粗すぎる | お湯が速く通り抜けて抽出不足に。薄く、苦みも甘みも出ません |
| ちょうどよい | 4~7分かけて一滴ずつ落ち、とろりとした濃さが出ます |
| 細かすぎる | 穴が詰まってほとんど落ちない。焦げたような苦みが出ます |
ここで、日本語の解説でよく見かける記述を訂正しておきます。「ベトナムコーヒーは粗挽き」と書かれていることがありますが、フィンで淹れる前提ならこれは当てはまりません。編集部が確認した限り、ベトナム語・英語の抽出ガイドはいずれも中細挽きで一致しています。粗挽きにすると、上の表のとおり薄い一杯になってしまいます。
なお、現地で「粉」として売られているものは、たいていフィン用に挽いてあります。そのまま使って問題ありません。自分で挽く場合や、豆で買って日本で挽いてもらう場合は、「ベトナムのフィンで使う」と伝えると調整してもらえます。

ここからが本題です。感覚に頼らず、まずは数字どおりに一度淹れてみてください。基準の一杯を知ってから調整すると、好みの濃さに最短でたどり着けます。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 粉と湯の比率 | 1:8~1:10(粉15gなら湯120~150ml、粉20gなら湯160~200ml) |
| 粉の量 | 15~20g(大さじ2~3杯ほど) |
| 湯温 | 90~95℃(沸騰後に30秒~1分ほど置いた状態) |
| 蒸らし | 少量の湯で30~45秒 |
| 抽出時間 | 4~7分で落ちきるのが理想 |
手順は5つです。
①フィンを温める:受け皿とフィンをカップに乗せ、熱湯を全体に回しかけて温めます。この一手間で湯温の下がり方が変わります。湯は捨ててください。
②粉を入れて平らにする:粉を入れたら、フィンを軽く揺すって表面を平らにならします。傾いていると片側だけ早く落ちて、味がばらつきます。そのうえに押さえ板を乗せます。ねじ式の場合は、軽く触れる程度で止めてください。
③蒸らす:押さえ板の上まで届く程度の少量の湯(20~30ml)を注ぎ、ふたをして30~45秒待ちます。粉がふくらんでガスが抜けるこの時間が、味の輪郭を決めます。ここを省くと平坦な味になります。
④残りの湯を注ぐ:フィンの縁の少し下まで湯を足し、ふたをして待ちます。あとは触りません。途中でかき混ぜたり押さえ板を押したりしないでください。
⑤落ちきったらフィンを外す:4~7分で落ちきります。最後の数滴まで待つ必要はありません。落ちる速度が目に見えて遅くなったら外して構いません。外したフィンは受け皿を裏返してその上に置くと、テーブルが汚れません。
うまくいかないときは、たいてい原因が決まっています。症状から逆引きしてください。
| 症状 | 原因と直し方 |
|---|---|
| 落ちてこない | 押さえ板の締めすぎか、挽き目が細かすぎ。ねじを少し緩めると流れ出します |
| 速すぎる・薄い | 挽き目が粗いか、粉が少ない。粉を増やすか細かく挽く |
| 苦すぎる | 湯温が高すぎるか、落ちきるのが遅すぎ。沸騰直後の湯を使わない |
| 片側だけ落ちる | 粉の表面が傾いています。入れた後に揺すって平らに |
| 粉が浮いてくる | 押さえ板を乗せ忘れているか、湯を一度に注ぎすぎ |
いちばん多いのは「落ちてこない」です。現地のカフェでも起きることで、店員さんに声をかければ直してもらえます。自宅なら、上ぶたを開けて押さえ板のねじを反時計回りに少しだけ緩めるのが正解。焦って上から押すと、かえって粉が詰まって出てこなくなります。

粉だけ買ってきた、フィンを人にあげてしまった、洗うのが面倒。そんなときは手持ちのペーパードリップでも十分楽しめます。完全に同じにはなりませんが、近づけるコツがあります。
フィンとペーパードリップのいちばんの違いは、紙が油分を吸ってしまうことです。ベトナムコーヒーのとろりとした口当たりは、この油分が生んでいます。そこで、次の3点で補います。
1.粉を多めにする:普段の1.5倍を目安に。湯量は少なめの100ml前後にとどめ、濃く抽出します。薄いと物足りなくなるので、ここが最重要です。
2.湯は細く、ゆっくり注ぐ:フィンの「じっくり時間をかける」という性格を再現します。一気に注ぐと速く落ちてしまい、あの濃さになりません。
3.金属フィルターがあればそちらを使う:ステンレスのメッシュフィルターなら油分がそのまま落ちるため、フィンにいちばん近い口当たりになります。お持ちの方はぜひこちらで。フレンチプレスでも代用できます。
なお、お土産でよく買われるインスタントタイプは、フィンを使いません。お湯を注ぐだけです。ただしこちらも「お湯少なめで濃く」が現地流という点は同じです。
ベトナムコーヒーの完成形は、加糖練乳と合わせた状態です。順番を間違えると、あの二層になりません。現地の手順はいたって単純です。
①先にグラスの底へ練乳を入れる:コーヒーを淹れる前に入れておきます。目安は小さじ2杯ほど(15~20ml)。甘さが苦手な方は小さじ1杯から始めてください。あとから足すのは簡単ですが、減らすことはできません。
②その上にフィンを乗せて淹れる:練乳の上に直接コーヒーを落とします。混ざらずに層になるのは、練乳のほうが重いためです。ここで触らずに待つのがきれいな二層をつくるコツ。
③落ちきってから混ぜる:スプーンで底からすくうように混ぜます。ここで初めて完成です。ホットならこのまま。
アイス(カフェスアダー)にするなら、混ぜたあとに氷をたっぷり入れたグラスへ注ぎます。先に氷を入れると、コーヒーが薄まったうえに練乳が溶け残ります。「濃く淹れる→練乳と混ぜる→氷に注ぐ」の順番を守れば、現地で飲んだあの一杯にぐっと近づきます。
練乳は日本のスーパーで売られているチューブ入りのもので十分です。牛乳や生クリームでは、あの甘さとコクにはなりません。ベトナムコーヒーの甘さは砂糖ではなく練乳が担っているためで、ここは代えがきかない部分です。
フィンは現地のスーパーでも数百円ほどで買えますが、粉と一緒に選ぶなら専門店が確実です。その場で一杯飲んで、同じ豆をフィン用に挽いてもらえば、帰国後に味を再現しやすくなります。

ベンタイン市場から徒歩5分ほど、Lưu Văn Lang通りの落ち着いた一角にあります。ベトナムのスペシャルティコーヒーを牽引してきたブランドの店で、コロニアル調の建物を生かした静かな空間です。
こちらの強みは、飲んだ味をそのまま持ち帰れること。ダラット産をはじめとするベトナム産の豆を自家焙煎しており、抽出方法を選んで試したうえで、気に入った豆を購入できます。豆は挽いてもらうことも可能なので、フィンで使う旨を伝えて調整してもらえます。
朝7時半から夜22時まで開いており、市場を回る前後どちらでも寄れます。帰国後も同じ味を淹れたい方や、挽き目に迷っている方におすすめの一軒です。
| 住所 | 27 Lưu Văn Lang, Phường Bến Thành, Thành Phố Hồ Chí Minh |
|---|---|
| 営業時間 | 07:30~18:30 |
| HP | 今すぐSHIN Heritageをチェック |
ベトナムコーヒーの入れ方を、フィンの使い方を中心にご紹介しました。
覚える数字は多くありません。粉と湯は1:8~1:10、湯温は90~95℃、落ちきるまで4~7分、挽き目は中細。この4つを守れば、まず失敗しません。落ちてこないときはねじを緩める、練乳は先に底へ、アイスは最後に氷へ注ぐ。手順の順番さえ間違えなければ、道具が違っても近い味に届きます。
忙しい朝の一杯に、休日のゆっくりした時間に、旅の思い出を振り返るひとときに。ぜひご自宅でも淹れてみてくださいね。落ちきるまでの数分をただ待つ時間も、ベトナムコーヒーの楽しみのうちですよ! みなさんの一杯が、現地で飲んだあの味に少しでも近づきますように。
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