ホーチミン市の企業・就職・ビジネスマッチングガイド
(更新)
ASEAN 有数の経済成長を見せるベトナムで、急成長するスタートアップの最前線

ベトナムでは、ITやゲームだけでなく、食品流通、再生可能エネルギー、小売、飲食DX、環境配慮型製品など、幅広い領域から新しい企業が生まれています。
人口増加やデジタル化といった国内市場の成長を取り込む企業がある一方、ベトナムを開発・製造拠点として、最初から世界市場を目指すスタートアップも増えてきました。
今回は、日本企業との協業、海外展開、事業投資という観点から注目したい、ベトナム発・ベトナム拠点のスタートアップおよび成長企業を紹介します。
※本記事は各社の事業内容と成長性を紹介するものであり、特定企業への投資を推奨するものではありません。

LINTBOOは、ベトナムのALPHAM Trading & Serviceが開発する環境配慮型の粘着クリーナーブランドです。
一般的な粘着ローラーとは異なる2軸回転構造と両面テープ方式を採用し、清掃性能を維持しながら、使用する資材と廃棄物の削減を目指しています。
特徴は、単なる家庭用掃除用品としてではなく、食品工場における異物混入対策や毛髪混入防止、HACCPに対応した衛生管理、企業のSDGs・ESG活動を支援する業務用ソリューションとして展開できる点です。
すでにアメリカ市場での販売を開始しており、日本では食品工場、ホテル、病院、アパレル、クリーニング工場などへの導入を想定しています。
また、日本の消費者や小売市場に合わせたサイズ、カラー、パッケージ、仕様変更、OEM・ODM・PB商品の共同開発にも柔軟に対応する方針です。
日本企業にとっては、完成品の輸入だけでなく、日本市場向けの商品を共同開発できるベトナム発メーカーとして注目できます。
注目ポイント
・環境配慮型の独自製品
・アメリカ市場で販売実績を構築
・食品工場の異物混入対策と相性が良い
・日本向けOEM・ODM開発に対応可能
・衛生管理と廃棄物削減を同時に提案できる
LINTBOOリントローラーの製造、流通、販売。
産業用集塵ローラーソリューションは、廃棄物の削減に役立ちます
799 Trần Hưng Đạo, Phường Chợ Quán, TP Hồ Chí Minh, Việt Nam

KAMEREOは、レストラン、ホテル、カフェなどの飲食事業者と、生鮮食品・食材の供給者をつなぐBtoB食品流通プラットフォームです。
2018年にホーチミン市で創業し、発注、仕入れ、在庫、物流など、飲食店の調達業務をテクノロジーで効率化してきました。2024年には780万米ドルのシリーズB資金調達を実施し、累計調達額は1,500万米ドルを超えたと報じられています。
ベトナムの食品流通は、小規模な供給者や卸売市場が多数存在し、価格、品質、納期の管理が複雑になりやすい市場です。
KAMEREOは、オンライン発注だけでなく、自社倉庫、品質管理、配送、プライベートブランドの開発まで手掛けることで、従来型の食品卸とは異なるモデルを構築しています。資金調達後は、ベトナム国内での拠点拡大やマーケットプレイス型サービス、商品ラインアップの拡充を進めています。
日本企業との親和性が高い点も特徴です。飲食、食品製造、物流、コールドチェーン、農業、業務システムなど、複数の領域で協業の可能性があります。
注目ポイント
・ベトナムのBtoB食品流通をデジタル化
・調達から物流まで一体化したモデル
・日本人起業家がベトナムで創業
・外食市場の成長とともに拡大できる
・食品、物流、農業分野で日本企業と協業しやすい

Sky Mavisは、ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」と、ゲーム・デジタル資産向けインフラ「Ronin」を開発するテクノロジー企業です。
ホーチミン市を主要拠点の一つとし、ゲームの中でデジタル資産を所有・取引できる仕組みを世界へ広げました。公式サイトでは、仮想世界と、それを支えるインフラの構築を事業の中心に掲げています。
Sky Mavisは、ベトナム発スタートアップが世界規模のユーザーを獲得し、大手グローバル投資家から資金を集めた代表例です。一方で、暗号資産・Web3市場特有の価格変動、セキュリティ、規制、ユーザー動向といったリスクも大きい領域です。
2024年には人員削減も報じられており、急成長後の事業再構築を進めている段階と見られます。
単純な成功事例としてではなく、「ベトナムの開発チームが、グローバルなゲーム・ブロックチェーン市場へどこまで展開できるか」という観点で、今後も注目される企業です。
注目ポイント
・世界規模のゲームIPをベトナムから創出
・ゲームとブロックチェーン基盤を一体開発
・グローバル資本を呼び込んだ実績
・Web3市場の成長可能性を持つ
・市場変動、規制、セキュリティ面のリスクも大きい

SkyX Solarは、ベトナムの商業施設や工場を対象に、屋根置き太陽光発電と分散型エネルギーソリューションを提供する企業です。
設備の設計・建設だけでなく、資金調達、運用、監視、保守まで含めた包括的なサービスを提供しています。公式サイトによると、運用中または開発中のプロジェクトは100MWpを超えています。
さらに、再生可能エネルギー証書、直接電力購入契約、蓄電池システムなどを組み合わせ、企業が再生可能エネルギー比率を高めるためのロードマップを提案しています。
ベトナムへ進出する製造業にとって、電力コストだけでなく、サプライチェーン全体の脱炭素、Scope 2・Scope 3への対応、輸出先から求められる環境基準が重要になっています。
SkyX Solarは、単なる太陽光設備会社ではなく、ベトナム企業や外資系工場のエネルギー転換を支える事業者として注目できます。
注目ポイント
・工場・商業施設向け再生可能エネルギー
・設計から運用まで一体で提供
・100MWp超の案件を運用・開発
・DPPA、EAC、BESSにも対応
・ベトナム製造業の脱炭素需要と親和性が高い

Con Cungは、ベトナムで妊婦、乳幼児、子育て世帯向けの商品を販売する小売チェーンです。
ミルク、紙おむつ、栄養食品、衣類、育児用品などを幅広く取り扱い、実店舗とECを組み合わせたオムニチャネル型の事業を展開しています。
2022年には、ヘルスケア分野を中心とする投資会社Quadria Capitalから9,000万米ドルの投資を受けました。当時、600店舗以上を45省・市で展開し、2,000種類を超える商品を取り扱っていたと報じられています。
また、海外ブランドの販売に加え、アジアの製造会社と連携したプライベートブランド商品の開発にも取り組んでいます。
すでに初期段階のスタートアップというより、大型のスケールアップ企業に近い存在です。しかし、ベトナムの所得向上、都市化、子どもの健康・安全への意識向上を取り込む企業として、日本の食品、育児、衛生、教育関連企業にとって重要な提携先候補になります。
注目ポイント
・ベトナム有数の母子向け小売ネットワーク
・実店舗とデジタルを組み合わせた事業モデル
・大型投資の受け入れ実績
・海外ブランドとPB商品の両方を展開
・日本の育児用品、食品、ヘルスケア企業と相性が良い

Amanotesは、「Everyone Can Music」を掲げるベトナム発の音楽テクノロジー企業です。
音楽に合わせて画面を操作する「Magic Tiles 3」など、スマートフォン向け音楽ゲームを多数展開しています。
公式サイトでは、アプリの累計ダウンロード数が35億回以上、月間アクティブユーザーが7,000万人以上とされています。世界最大級の音楽ゲームパブリッシャーを掲げ、東南アジア発のアプリ企業として大きなユーザー基盤を築いています。
Amanotesの強みは、ベトナム市場で人気のゲームを作ったのではなく、初期から世界のユーザーへ向けて商品を設計した点です。
音楽、モバイルゲーム、広告、アプリ内課金、IP、アーティストとの連携など、複数の収益機会を持っています。2025年の報道では、創業から約10年で34億回を超えるダウンロードと、約200人規模の組織へ成長したと紹介されています。
ベトナムのソフトウェア開発力と、グローバル向けコンテンツ制作力を示す代表的な企業です。
注目ポイント
・世界向けモバイルゲームをベトナムで開発
・数十億回規模のダウンロード実績
・音楽とゲームを融合した明確な専門性
・アプリを通じて世界市場へ直接展開
・音楽IP、広告、エンターテインメント分野で拡張可能

Capichiは、ベトナムで飲食店のデリバリー、予約、店内注文、店舗運営支援などを提供するF&Bテクノロジー企業です。最近では、ベトナム国内で最大級のコングロマリッド企業であるビングループとの提携も発表したばかり。
日本人起業家の森大樹氏が創業し、ベトナムを主要事業地域としてサービスを拡大してきました。現在はベトナム、日本、シンガポールに法人を持ち、飲食店と利用者をつなぐ複数のサービスを展開しています。
Capichiの特徴は、大手フードデリバリーサービスと正面から価格競争するのではなく、日本食、中華、韓国料理、欧米料理などを求める外国人利用者と、品質の高い飲食店を結びつけている点です。
アプリ上では、ベトナム国内の2,000店以上からデリバリーや予約ができると案内されています。
また、店舗向けには注文管理、予約、POS周辺サービスなどを提供し、消費者向けプラットフォームから飲食店DXへ事業領域を広げています。
日本企業にとっては、ベトナム進出時の販売チャネル、日系飲食店のDX、在住外国人向けマーケティングという複数の接点を持つ企業です。
注目ポイント
・ベトナムの外国人消費者に強い
・デリバリー、予約、店内注文を展開
・大手と異なるニッチ市場を形成
・ベトナム、日本、シンガポールに拠点
・日系飲食店や海外ブランドとの親和性が高い
今回紹介した企業は、すべて同じ段階にあるわけではありません。
Sky MavisやAmanotesのように、デジタルプロダクトを世界へ届ける企業もあれば、KAMEREOやCapichiのように、ベトナム国内の非効率をテクノロジーで解決する企業もあります。
SkyX Solarはエネルギー転換、Con Cungは消費市場の成長、LINTBOOはベトナム発の環境配慮型製品という、それぞれ異なる成長機会を捉えています。
共通しているのは、次の3点です。
・ベトナムの成長市場を事業基盤にしている
・テクノロジー、製造、流通のいずれかに明確な強みがある
・日本を含む海外企業と協業できる余地がある
ベトナムのスタートアップを見る際は、資金調達額や利用者数だけでなく、収益モデル、競争優位性、経営体制、海外展開の再現性、法規制への対応まで確認する必要があります。
日本企業にとっても、投資だけが関わり方ではありません。
販売代理、共同開発、OEM、業務提携、技術提供、出資、M&Aなど、それぞれの企業に適した協業方法があります。
今後、ベトナムから世界へ展開する企業が増えるなか、日本企業がその成長過程にどう関わるかが、新しい事業機会につながりそうです。
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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